「『雪がとけると何になる?』という問いに、『春になる』と答えると、間違いといわれますよね。でも、農業の時代は、これが正解だったんです。ただ、工業の時代になって生まれたいまの学校では、『どの状況でも再現性のあるもの』が求められるので、『水』だけが正解となってしまう。でもね、こどもが、『雪がとけると、春になる!』というきもち、とっても人間らしいきもちは、『間違い』ではないですよね」
一見するとヤギのような、穏やかな風貌の児童精神科医・石川憲彦さん。障害など、生きることに困難を抱えるこどもたちに寄り添って40年以上。移り気な社会のルールにこどもの命をあわせるのではなく、こどもの命そのものが求めることに、とことん寄り添う。
こどもの脳は「建設途中」で、いま残念ながら脳に作用しない薬はないからと、(生死にかかわる状況でない限り)投薬をしない。そのかわり、マンパワーでケアをする。東京・目黒「林試の森クリニック」は、ときによって予約が4年待ちとなってしまうほど、圧倒的な信頼を集めている。
そんな石川憲彦さんと、私は、スペインの育児書を翻訳したご縁で知り合いました。私は石川さんの著書や、編集委員をつとめられる雑誌「ちいさい おおきい」などを通して、もともと大ファンでした。
実際にお目に掛かった石川憲彦さんは、予想通りに柔和で、でも予想よりずっと熱く、人間を「分けて」矯正したり管理したりすることに、強い違和感を表明されていました。
薬物依存症の原因の第2位として発達障害などに処方される向精神薬が浮上したり。一年生の10人に1人が発達障害の疑いありと教師がアンケートで答えたり。そういう時期でした。
権威やエリートによる「良かれ」が、はたして本当にその子や親に「良い」のか。
その子のためにと頑張らせて「普通」に追いつかせるって、いったいなんのためなのか。
人間が「みんなで生きる」やり方は、「みんなで生きる」ことでしか学べない。本人も、周囲も。
「分ける」ところから、ドイツ・ナチスの道は始まったのではなかったか……。
「人間には、生きる力がある。お互いのその力が影響しあって、みんなで生きることを学びあう。だから先行者は、そういう生きた人間が交わる『場』をつくりさえすれいい。あとは人間が、なんとかしてくれる」
それが、「自分が『治療』をすることが、果たして良いことかどうかもわからない」とまで真摯に考える石川先生の、信じるところです。
なので、私がリベルタ学舎をはじめるとき、石川憲彦先生は、「人生3度目」という「押しかけ講演」に駆けつけてくださいました。
「湯川さんがおもしろい場をつくろうとしてるから、頼まれてもないのに、押しかけてきちゃった♪」
めちゃめちゃに忙しい方で、しかも体調も芳しくないのを、私はよく知っていました。
並んで座らさせていただいた演壇で、涙が出そうでした。
「発達障害!? みんなで生きる『場つなぎ』方法論」と題した、この2013年3月の開校記念講演には、約100名の方が集まってくださいました。
そのときのお話の内容は、たまたま聞きにこられていた新聞記者さんが感動されて、記事になったほどでした。
そんななかのひとつの挿話が、冒頭の、「雪がとけたらなんになる?」です。
その石川先生が、「湯川さん、ゲリラになったというけど、元気かしら?」と、またリベルタ学舎にお話をしにきてくださることになりました。
12月6日(土)午後2時半から午後4時。場所は、「心地良い」といつもどなたにも大絶賛される、前田畳製作所。西宮北口駅徒歩7分。
たっぷり90分、畳の上で、茶菓つきで、ゆっくりのんびりお話し会を予定しています(3,000円)。
詳細:http://ow.ly/DIuhd
そして、今回、この貴重なお話し会を支えてくださるお手伝いスタッフを、大募集させてください!
この機会に、石川憲彦さんのお話をきかれたい方(でもお手伝いもあるので、現場ですこし聞き逃すかもしれません)。
リベルタ学舎にご興味がある方。
湯川カナを手伝ってやろうじゃないのという方。
規模的に、3~4名でしょうか。一緒にこのイベントをつくっていただければ、とてもうれしいです。
スタッフ特典としては、
・ご参加費無料(おやつもどうぞ。お子さまも)
・石川先生責任編集の「ちいさい・おおきい」のバックナンバーを一冊、進呈
あとは、湯川カナの駄洒落を何回も聞けることくらいでしょうか……。それはデメリットかな。
もちろん、イベント運営の勉強をされたいという方も、ぜひ。
あのね、でもね、これ自分でいうのはすごくなんなんですけど、
「湯川カナといると、意外なつながりできてなんだかおもしろいよ」が、最大のメリットのような気がします。
周囲のみなさんの声によると。
もし、よし手伝ってみようかという方がおいででしたら、以下のお申し込みフォームの備考欄に「スタッフ希望」とお書き添えのうえ、お知らせくださいませ。
http://goo.gl/forms/Eerck4GgxR
リベルタ学舎でイベントスタッフ公募、初の試みです!
よろしければぜひ、生の石川先生を「迎える」側として、触れてみてください。