先日、ビジネス先輩と、コーヒーを飲みながら、ビジネスのことを話していた。
なんだかビターな味がした。
私は「ビジネス」の話になると、とたんに味がわからなくなる。そう告げると、
「『ビジネス』って言葉が、よくないんだと思うんだよね」
ビジネス先輩が、やにわに言った。
「あ、語源が”busy”=忙しい、だもんね!」
語源フェチの私がすかさず答える(←ビジネスモードのときは「忙しい」のです)。
businessの語源は、「busy」=忙しい。
対義語のvacation=休暇の語源は、飛行機のトイレでよく見かける「vacant」=「空っぽ」。
つまり、「仕事」とは忙しいことで、「お休み」とは暇なこと。
そういうイメージで、英語人は生きているらしい。
だからアーリー・リタイヤとかするのだろう。
「でも、がんばって、ちゃんと『ビジネス』しようと思ってるんだけど」
私は食い下がった。
「んーと、……じゃあ、『ビジネス』じゃなくて、たとえば『商い』とかだと、どう?」
先輩が提案。
日本語の「はたらく」は「傍を楽にする」といい、「商い」は「飽きない」という。
なんだか「手と手の皺をあわせて『しあわせ』」みたいだけど、でもたぶん、それもまたひとつの「真実」なのだろう。
「『ビジネス・マインド』をもとう!」と思うと、私なんかはつい、お金のことばかり考えてしまう。
でも、これが『商いの精神』となると、『三方よし』になる。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」という、近江商人の心得。
うん、なんか、良いかもしれない。
というわけで、これから個人的に「ビジネス」は禁句にして、「商い」と呼ぶことにします。
その方が、間違ったビジネス……もとい、商いをしそうにないから。
ね、ビジネス先輩。
もとい、「商い先輩」。
手と手の皺をあわせて「しあわせ」的ビジネス論