まだぜんぶ今年のことだ。4月末に居場所を失って、リベルタ学舎と私はゲリラになった。8月上旬、長屋「海運堂」ができて、そしてリベルタ学舎は一般社団法人になった。
3ヶ月で、私はゲリラから一転、「代表理事」になった。

それまで、経営はひとりでするものだと思っていた。自分は血を流してでも、お客様には笑顔でサービスを提供する。それが「よき経営者」だと思っていた。

その結果、私はボロボロになって倒れた。「生きる知恵と力を高める」場所の主催者が、死に体になっていた。あっという間にリベルタ学舎は、存続の危機に陥った。

 

そのとき、「リベルタ学舎がなくなったら困る!」という変わり者が、近くにいた。

ひとりが「さーりん」。
彼女は自分たち家族が「住み開き」をするかたちで管理人になるから、と、ずっとやりたいなと思っていながら実現していなかった「こどもと母親の居場所作り」―「長屋」づくりに、ぽんぽんと道筋をつけてくれた。

食いしん坊で食わせン坊。お掃除だいすきな海運堂管理人・さーりん。
食いしん坊で食わせン坊。お掃除だいすきな海運堂管理人・さーりん。

 

もうひとりが「おくむらさん」。
会社もみんなのひとつの「居場所」でありそれを簡単になくしてはいけない。経営が厳しくなった事業を次世代につなぐことに情熱を注ぐコンサルティング司法書士が、本気になった。ちいさな、私たちの「生きる」を守ることを、一緒にやろう、と。

「僕が司法書士やってたころは」とよく言いますが、まだ司法書士でもあります。活動が枠を超えてるだけね。
「僕が司法書士やってたころは」とよく言いますが、まだ司法書士でもあります。活動が枠を超えてるだけね。

 

それで、リベルタ学舎の共同代表になった……。というか、もともと奥村さんが運営していた一般社団法人を「リベルタ学舎」の居場所にしてくれた。

なぜ奥村さんがそれだけ本気になってくれたのか。よくわからない。
「どういう関係ですか?」と言われるたび「革命の同志です」と答えていたのだけど、よくわかってもらえないし、そもそも奥村さんは「革命」という言葉は荒々しくて嫌いだ。なので姫路の小野さんに訊かれたときなど「そりゃもう、肉体関係です♡」と言ったりもしていたが、襟つきシャツしか着ない奥村さんは下ネタも嫌いなのだった。

なぜ共同代表なのか。最近ようやく少しわかってきた。やっぱり同志なのだ。どうしようもなく。

 

いま、「マーケット」のために、ヒトという生き物や、それぞれの土地がもつカラフルな個性が、消し去られようとしている。
みんな英語できなきゃ就職できないとか、どこの土地で採れた野菜も等価で売れよTPPとか、あるいはイオンのPB商品は製造者表示が免除されているの輸入品かどうかすらわからないとか。

それがグローバリゼーション。そこでは私たちは「原産地も気にせず安い(=大手企業だから途上国でひどい労働させてコストカットできる)から買う消費者」か、「世界中の誰とでも入れ替わりがきくぞと脅されながら最低賃金ではたらく労働者」かを、というか、その両方であることだけを期待される。極端にいうと。

いま世界中を巻き込むグローバリゼーションに対抗するには(いや、しなくてもいいけどね)、いま・ここに在る、誰ひとりとして代替のできない、「私」に開き直るしかない。まぎれもなく世界にたったひとつの、自分の命の在り方に。私はそう感じている。

 

だから、「薪割り」「山登り」「古武術」といった身体運用系のワークショップを中心にリベルタ学舎の活動を組み立ててきた(いや単に、やりたい順にやってただけともいいますが)。

実際に「ここでは競争じゃなくて、みんなが助けあって生きているんだぜ~」と、グローバリゼーションに疲弊したひとに「いーなー」と思われちゃうような、まだそれを体験したことないひとに「あ、これもいいな!」と体感してもらえるような居場所をつくりたかった。それが長屋・海運堂。

そして、リベルタ学舎はアジール(緊急避難所)で終わってはいけない。そこで元気になって「実社会」という「本番」に胸を張って出て行ける「楽屋、稽古場」でないといけない。
押し寄せてくるグローバリゼーションという大波を、笑顔で、「ん、それ、自分に関係ないよ~」とかわせる強さを身につけてほしい。

 

「英語できなきゃ就職できない会社」に、生まれたころから英語を話す遠くのインド人とポジション争いして入社して、その後もヘッドハンティング(って「首狩り族」か?)あったりなんだりで、ひとりが勝って残りのみんなが負ける、ストレスフルな競争社会で生きるのも、よし。

でも、なんとなく小さな頃から自転車が大好きで、町の一軒だけの自転車やさんに意味なく入り浸ってて、大学なんとなく行く気なくして帰省したら「じゃあうち手伝う?」とすっかり老けた店主に声かけてもらって、バイトしているうちに本気で整備など学んで…というのも、あっていい。

ただし、後者が成立するにはひとつ欠かせない条件がある。太郎くんが大学中退して帰ってきたときに、「町の自転車屋」がまだそこにある、ということだ。町のひとがイオンやあさひやamazonで自転車を買い続ければ、あっという間に自転車屋は潰れる。

 

なので「居場所づくりラブ♡」のおくむらさんは、地域の小商い支援に、いま本気で取り組んでいる。もしもその自転車やさんの息子が町を出てゴールドマンサックスに入社して幸せにやっているのであれば、その自転車屋さんを、通りすがりの太郎くんが継いだらいいじゃん、という、かなり思い切った提案もしている。

それが「今ある会社をリノベーションして起業する 小商い実践のすすめ」という手法で、先日、本にもなった。「小商い」という言葉をつくった平川克美さんとの対談やイベントもよくやっている。

右が「小商い」の神様、平川克美さん。最新刊もバカ売れ中。「成長時代から成熟時代へ」というのが大好き。
右が「小商い」の神様、平川克美さん。最新刊もバカ売れ中。「成長時代から成熟時代へ」という言葉が大好き。

 

そんな奥村さんと共同代表をすることになって、リベルタ学舎は、「社会で生きる知恵と力を学ぶ」という切り口の提案ができるようになった。

さーりんがいなければ長屋「海運堂」という居場所が実現しなかったのと同じで、これは、奥村さんという生身の人間がいなければ実現しなかった、「みんなでやりたいこと」のひとつだ。

リベルタ学舎は、私ひとりのものではない。わらわらと集まってきてくれるみんなと一緒につくりあげていくものだ。
どうやったら「生きる知恵と力」を高めることができるのか、それぞれの持ち場から提案して実践してみている、愉快な実験場、というところだろうか。

 

というわけで、さーりんや奥村さんは、「パートナー」なんだな。そして共同代表の奥村さんは「ビジネスパートナー」、つまり、「ネクタイ関係」なのだった。ネクタイを結んだ革命同志だ。バンサーイ!!

さあ、みんな、がんがん燃えていこうぜ! 各々の持ち場で、グローバリゼーションをさらりと受け流すのだ~。人間がまるごとご機嫌に生きられる場所を、つくろうぜ~☆

 

というわけで、いくつか告知もしますよ~。こういう流れで始まる動きを、知ってほしいのです。

 

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元共同通信記者、元宝島社編集者。ビジネス書著者、コラムニスト。
文章を書くことで人生を切り拓いてほしい。
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来週火曜、9月30日からスタート、
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相続数百件で、裁判を起こされたことなし!
やさしい方向付けが得意な奥村聡。

育児書の翻訳もあり、専門家の知り合いも多し。
連載には、「引きこもりやめた」と読者から熱烈メール。
なぜだか元気になるカナコ・デラックス(私です)。

10月第一週から、隔週金曜午前中、無料相談。
海運堂に遊びに来てね。要ご予約。もちろん秘密厳守。

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平川さんのお話聞いて、いろんな小商い実践者と話をして、みんなで商店街をまわる…というフェス。9月28日、東京にて。行きたいなあ。

(詳細)http://ow.ly/BNqcW 

 

 

ネクタイ関係です。

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