「なにをしたいんですか?」と、よく訊かれる。いま手元に届いた、今度出るラジオ番組のインタビューシートにも、「現在の活動・お仕事、これからしていきたい活動・お仕事」とある。
とりあえず、「革命!」と答える。でもそれは、すごくわかりにくいらしい。さらに、「革命」ということばは、中近東とか中南米のゲリラの怖いイメージを彷彿とさせるらしい。
でも、私が考えている「革命」は、大きな力と大きな力がぶつかって血がいっぱい流れてガッシャーン! というかんじではない。もっと小さくて弱いものが、えいっと踏ん張る、そんなかんじ。
えっとね。「ゲリラ」の語源、ご存知でしょうか? って、知ってる方がおかしいよ。ごめんなさい。
スペイン語で、「戦い」のことを、guerraという。「ゲラ」。私のところには今日あたり、来月出版予定の原稿のゲラが大量に戻ってくるらしいので、これから「ゲラ」との「guerra=戦い」が始まるはず。ああ笑いが止まらないぜ、ゲラゲラ。
で、縮小辞というのだけど、スペイン語には単語を可愛くする語尾がある。日本語だと「- ちゃん」に相当する、かな。
「セニョーラ」だと「おばさん」が、「セニョリータ」だと「お嬢さん」。「エバ」という女の子が「エビータ」になると「エバちゃん」(エバ・ペロンの愛称ですね)。
そして話は、いきなり1808年に遡る。うららかに晴れた5月のある日、ナポレオンがスペインに攻め込んだ。なんせ、「ピレネーを越えればアフリカだ」とのたまった男だ。スペイン人なんて足蹴にして、一夜で全土を制圧。
制圧した……はずだった。王家は逃亡、組織された軍隊は潰走。しかし夜が明けて、ナポレオンは意外なものを目にした。それは、手持ちの武器を握りしめ、わらわらと立ち上がった市民たちの姿。
彼らは、とくに組織ももたず、お互いの連絡すらしていない。携帯もLINEもないしね。2、3人でわーっと軍隊を急襲すると、街の中へと消える。ホッとしていると、また、わーっ。各所で繰り返される、小さな戦い。それが、「戦い=guerra」に縮小辞をつけた、「ちいさな戦い=guerrilla=ゲリラ」の語源となった。
この光景を描いたのが、ゴヤの大作「マドリード、1808年5月2日」。
小さな戦い、それがゲリラ。組織化された体制側の大きな戦いではなく、個の、小さな戦い。
私はそういう、ゲリラがしたい。
「わあ、世界でいまいちばん力を持ってるナポレオンが来たぜ、もうダメだぜ、わーっ」と逃げるのは、「力」のサイズだけで物事を考える大きな力のやること。
「相手が誰であれ、オレと、オレの愛する家族やアミーゴは守る!」というのが、小さな力の、持ち場だと思う。その力を出すことを、諦めたくない。大切なひとたちにも、諦めてほしくない。
とくに、ふだん、大きな力によって「お前は弱いから力なんて出せないんだ」と言われ続けているひとには。たとえばいまの日本では、「経済を担う」と思われている「成人男子」以外の、こどもや、女性(とくに子育て中のママ)、年配のひと、ハンディキャップをもつひと、などなどに。
小さい力しかもたないとされているひとが、自分を卑下することなく、胸を張って、おかしいと思うことにおかしいと言えること。夢を語れること。
それが、私の、革命です!
(↑昨日のエントリーでも使ったキャプションそのままですね)
なので、リベルタ学舎。「生きる知恵と力を高める」のは、大きな力の言いなりにならないため。「自由」を、自分のところにしっかりと担保するため。
で、いままでは「薪割り」とか「アート」とかという「技」を中心としてきたのですが、今度は、「社会で生きる知恵と力を高める」に、本気で向き合うことにしました。
告知になって申し訳ないですが、それが、「リベルタ・社会とつながる技術シリーズ」の第1回、ライティング講座です。
講師は、ヒット作を生み出してきた元宝島社の編集者、元共同通信記者、ビジネス書著者に、コラムニスト。
「表面上の書くテクニックを教える講座ではありません。あなたは「何を書くべき人か」という軸を発見し、人生を拓いてください」
そんなメッセージがすべて。
全5回。個別めちゃめちゃフォローつき。
「書く」ことから、人生切り拓きたいひと、よろしければ覗いてみてください。たしか初回(9月30日午前10時~)は、返金制度つきだったはずです。
詳細はこちらでっす。
もちろん、来月(ちょいと遅れる?)、4冊目の本が徳間書店から出る私も、これまでのすべてをお伝えします! あっそうだ、今夜、内田先生との対談ゲラがやってきて、ゲラとのguerra(戦い)が始まるんだっけ……。
ともかく、待ってますぜ!