昨日、3日間にわたる「第2回リノベーション起業カレッジ神戸・水道筋-シャッターを開け直す」が終了しました。

ゼロから起業するのではなく、すでにご商売されているところを「リノベーション」するかたちで、次世代に引き継いでいこう。
奥村聡さん提唱の方法を、集中して実践的に学び、かつ有望なプランは実際に実現……つまり事業承継まで視野に入れて進めてしまおうというプロジェクトです。

 

チラシ。「後援・神戸市」を入れるのが間に合ってません(笑)
チラシ。「後援・神戸市」を入れるのが間に合ってません(笑)

<イベント詳細>
http://businessbaton.com/r2/

 

第1回は、旧居留地で実施。

第2回となる今回のテーマは、「商店街」です。
後継者がいなくてシャッターが閉まったお店を、また開けることができるか。
遠くは横浜から来られた9名の参加者が、3つのチームにわかれ、それぞれ「漬け物屋」「文房具店」「乾物屋」の事業プランを3日間ぶっ通しで考えました。

 

現地ナビゲーターは、灘区の顔、慈(うつみ)憲一さん。
リベルタ学舎でも、「山の教室」で大変お世話になっています。
初日は、慈さんの水道筋ガイドツアーで幕開けしました。

 

灘の生き字引・慈さんに案内していただく水道筋は、ストーリーの宝箱☆
灘の生き字引・慈さんに案内していただく水道筋は、ストーリーの宝箱☆

 

奥村さんのリノベーション起業論の講義後、舞台となる灘中央市場のうまいもんオードブルで、オープニングパーティー。
二日目の講義は、水道筋の活性化を牽引する、「ゑみや洋服店」の江見真也さんと、うどん屋さん「な也」の岡田和浩さんをお迎えして、水道筋での商いの話。
これが、素晴らしかったです。

 

どちらの店舗も、70年、80年と続く老舗。
ただ、いま40代前後のおふたり、事業を承継する際には、方針の違いで顧客がいったんゼロになったり、馴染みさんからたくさん苦言を寄せられたり、それはもう大変だったそうです。
それでも肚を決めて、水道筋しかないと思って、商いを始めて、商いを続けた。
実直に、お客さんとの関係性を築いていった。
数年経って、最初に文句を言っていた顧客が、「ようやくわかった」と笑顔で戻ってきたりもした。
そうやって、今日も続いている。

水道筋は、「合理的にやろうとすると失敗する、手間をかければかけるほど成功する」
マクドナルドも市場調査に一回入ったけど出店をやめた。
吉野屋も撤退した。このご時世に、すき家も松屋もない。
(もちろん?)スターバックスもない。

「日本一、音響の良いうどん屋」な也の壁面に、煙草の自動販売機があります。
そこに、窓口をつくったら、煙草の売り上げが10倍になったといいます。
モノを通してひととつながる場所。
それが水道筋であり、「商店街」なのかもしれません。

実際、顔が見えるまちは、こどもが安心です。
少子高齢化というけれど、水道筋のあたりは、「多子高齢化」と言われるんですって!

 

内容の一部が、翌日の神戸新聞の記事になりました。

「空き店舗を商売に活用-神戸で起業カレッジ」というタイトルでした。
「空き店舗を商売に活用-神戸で起業カレッジ」というタイトルでした。

<記事全文> http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201505/0008032449.shtml

 

店主さんたちのお話で「商店街や市場での小商い」の勘所をつかんだあとは、みっちりグループワーク。
夜は、恐怖の中間プレゼンテーションです。
むかしあったテレビ番組「マネーの虎」をイメージしてください。

グループごとの中間プレゼンテーション。ここで出てくる専門家のアドバイスは、値千金! でも怖い!!!
ここで出てくる専門家のアドバイスは、値千金! でも怖い!!!

手が震えている参加者さんもおいででした。
経営のプロたちからの厳しすぎるツッコミを受け、夜遅くまでプランを練り直します。

 

 

そして最終日。
午後、いよいよ公開プレゼンテーションです。
市場の一画に特別に設けられたフードコートで、3つの店舗の、3つのプランが発表されます。

 

どれも、素晴らしいものでした。
なんでそう言い切れるかって、この3日間の彼らの調査や試みと直に接した商店街や市場のみなさんが、発表にじっと耳を傾け、「もっと手前から手伝ったったらよかったなあ」と悔しがったりしながら応援してくれていたのを、見て感じたからです。
1チームは、まだ営業中の乾物屋さんのリノベーション起業プランづくりの担当となったのですが、やりとりのなかで店主さんたちの姿勢にうたれ、気軽な提案はできないと、事前のものから大幅に内容を変更して地に足ついた提案を出してきました。
私は、チームのガイド役をつとめた北川さんが、キレキレの事業プランづくりもできるひとだと知っていたので、とても意外でしたし、なのでいちばん印象に残りました。

(北川雄士さんのブログ)
http://kitagawa.blog.jp/archives/1027800907.html
最後は、慈さんと、灘の名物編集者&ソウルシンガーMJさん、そして奥村さんによるトークショー。

あたりまえのものが、ていねいな仕事されている。それが市場。
奇をてらったのではなく、まっとうに質の高いものになっている。それが市場。
格安だから買いたいのではなく、ふつうにあるようなものが質が高いから買いたい。それが市場。
あたりまえのこと、まっとうな「商売」が成立する。それが市場。

 

この日は「紙皿食堂」というイベントも実施。このスペースは今回ために、水道筋わくわく会議のみなさんが、閉じたシャッターを20年ぶりに開けて準備してくださったのでした!
この日は「紙皿食堂」というイベントも実施。このスペースは今回ために、水道筋わくわく会議のみなさんが、閉じたシャッターを20年ぶりに開けて準備してくださったのでした!

 

やがて話は、名物、「一度行ったら帰れなくなる」共同トイレのことへ。
それくらい、道が入り組んでいるんだそうです。
「こんなの、いっかい壊したら、もう二度と作られへんでしょー?」
デザイナーという顔ももつ慈さんらしい言葉に、ハッとしました。
市場も、一度失われたら、もう永遠に失ってしまうものなのかもしれません。

 

みんなでビールを飲みながらお話を聞くテーブルに並ぶのはもちろん、灘中央市場のうまいもん。
初日にもまして今度は、このうまいもんをつくってくれたお店の佇まい、店主さんの顔を思い浮かべながら、いっそう美味しくありがたく、いただきました!

 

そして閉会式に、びっくりサプライズ。
走り書きのメモを握りしめた慈さんから、「たったいま、」と報告がありました。
当日の神戸新聞の記事をみて、シャッターをしめていたあるお店から、リノベーション起業を前向きに考えたいと連絡があったそう!

 
そんな大興奮のるつぼのなか、3日間のイベントは終了しました。
イベントは終了しましたが、リノベーション起業研究会と水道筋の取り組みは、この先も続いていきます。
この3日間が、新たな試みへの、出発の日になりますように!!!

水道筋のみなさま、ご参加くださったみなさま、応援してくださったみなさま、
本当に本当に、ありがとうございました~!!!!

 

 

第2回リノベーション起業カレッジ神戸・水道筋-シャッターを開け直す/レポート!

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