狂言やオペラをやっていたかと思えば、救急処置があり、古武術、薪割り、火起こしときて、登山。
と思えばこの秋から、「社会とつながる技術」講座というシリーズで、ライティングと経理がはじまった。
リベルタ学舎、なにをやっているかよくわからない。
よく、そう言われます。ごめんなさい。
今日は、なぜ「経理講座」を始めることになったのかを、書きます。
もちろん、告知につながります。あーやだやだ。
でもね、切実な思いがあって始めたことだけは、ちゃんと書いておきたくて。
リベルタ学舎でなにをするか考えるとき、いつも思い出す光景があります。
泣き止まない赤ちゃんを胸に抱いて、うつろな目でゆらゆらと揺らしている女性。
無表情に見やる窓の外に、痛いほどの青空。
ひとりぼっちだ!
たくさん泣いていたことに、頬で冷えた涙の感触でハッと気づきます。
いま一瞬、もしこの子をこの窓から投げ落としたらと、考えてはいなかったかしら!?
私です。
育児うつだった頃の、私です。
げっそり痩せて(いまから12kg減)、咳が数ヶ月止まらず、起き上がって走ることもできませんでした。
ひとりだ。
とにかくそう思っていました。
全国を飛び回るフリーライターを辞め、家にこもって、育児に専念していました。
夫は、朝8時台に出て、帰宅は夜の11時、土曜も出勤で、日曜も月に一度は出張でした。
スペインで、親兄弟も親戚も、気の置けない友だちも近くにはいません。
(スペインは家族最優先なので、祝日など「友人」が入りこむ余地があまりありません)
世界も、社会も、まったく「外」でした。
青空は眩しすぎたし、行き交うひとたちの笑顔も眩しすぎた。
部屋の中に、ずっと赤ちゃんといて。
赤ちゃんをようやく「寝かしつけて」(思えばものすごい使役形ですね)、トイレに行って洗濯物を取り込んで畳んで、さあPCを立ち上げてブログでも、と思ったところで、また泣きはじめる。
あれ? もっと寝るんじゃないの?
なんで泣くの?
なんで泣き止まないの?
ねえ、何が悪いの?
でも赤ちゃんは責められない。それはわかっている。
だから、自分を責める。
うるさかったかしら、おっぱいが足りなかったかしら、おむつの締め方が不快だったかしら。
でも、わかっていませんでした。
誰も、自分をも、責めなくてもよかったことを。
結婚で、とくに妊娠・出産で、女性は「社会」と切り離されがちです。
そうして孤立するなかで、自分を責める。
「そこ」にはもう誰もいないから、自分を責めることに終わりがなくなる。
そうして私は、うつになりました。
戻してくれたのは、家族でした。
ある日、ムスメの顔を見るのも辛くなり、キッチンの扉を閉めて、酒を飲んでいました。
と、ノックの音がしました。
扉の、すごく下の方で。
もう一度、トントン。
トントントン。
「なによ!」
たぶん鬼のような形相で、私は思いっきり扉を引き開けたと思います。
そこには、ムスメがいました。
まだ歩くのもヨチヨチの、2歳にもならないムスメが、
お気に入りの黄色い長靴を、
頭からかぶって、
笑っていました。
「ミラ(見て)! ママー! ミラ(見て)!」
思わず笑いました。笑いながら泣いちゃった。
ごめんねごめんね。謝りながら泣いて笑って泣きました。
あんな思いは、あんまりしなくていいと思う。
小児科の先生と話したことがあります。
それぞれのひとが個別に経験をすると、すごく大変なことになる。
でも、たとえば「育児」だったり、「起業」だったり、その場面ごとに
「傾向として陥りやすい落とし穴」というのは、確実にある。
「育児」だったら、それは、「孤立」です。
男女平等ランキングで、世界142カ国中104位という
素晴らしく男女不平等な国・日本では、
いちばん社会とのつながりを感じやすい「労働」のところで
赤ちゃん連れのママは、真っ先に切り離されます。
赤ちゃんができても、パパの働き方は、まったく変わらないのに。
そんなその「落とし穴」にかける「橋」をつくりたい。
それが、「社会とつながる技術」講座シリーズをはじめた理由です。
「社会とつながる」ための、具体的な技術です。
それを学んでも「つながらない」、表面的な教養を売ったりはしません。
なので今回は、「雇用」というかたちで社会とつながる「出口」も、念頭に置いています。
初心者向けに経理の基本からスタートする講座ですが、
まずは今度の確定申告を自分でできるようになる。
もしご家族が事業をしていたら、この時点で、これを引き受けて仕事とできるかもしれません。
さらに、本人が望めば、経理の外注の仕事を受けられるよう、
実際に税理士事務所で教えてもらいながらトレーニングを積むことまで
スケジュールに組み込みました。
もしもそのかたちを望むなら、フルタイムではなく主に自宅で月に数件作業するという
育児中にちょうど良いやり方で、月収5万円くらいを得られる可能性があるように。
あるいは、こどもの手が離れたら、「経理ができます」と胸を張って
フルタイムの仕事に就くという選択肢を得られるように。
ひとりじゃない。
だから、どうか、その落とし穴にはまらないで。
私たちは、「落とし穴」にかける橋をひとつ、社会に、世界に、渡しつづけたいと思っています。
そうして、自分は「できる!」という自信を胸に、社会につながりつづけていられるように。
赤ちゃんや小さなこどもと一緒に、できるだけいっぱい笑顔でいられるように。
あの日の私の、ぞっとするような孤立感を、思い出しながら。
でもね、行政のサービスじゃないから、相応の対価はします。
でもね、ちゃんと相応の内容はあります。
というわけで、来週新しく「経理シリーズ」が始まるのでした。
税理士の森先生が、また、むちゃくちゃに良い方でね。
こういう趣旨なんですという説明を聞いて、
「それじゃあ、その気があれば外注を受けられるところまでやってみましょう。
税理士仲間にも、声をかけてみますので」
と、言ってくださったんです。
ちゃんと、しばらく考えたあとにね。
インタビュー、よかったら読んでみてください。
☆お金に強くなる! 経理講座☆ 11/12(水) 午前10時~
海運堂(JR住吉駅 徒歩3分)にて、スタート!
赤ちゃん・お子さま連れの受講、大歓迎です。
こちらがお申込フォーム↓
http://goo.gl/forms/0xZrdHgvRM
こんにちは。
カナさんとは、Facebookではお友達として繋がらせていただいていますが、以前、石川先生のお話があった時に一度だけお会いできました(*^^*)♪
いつも遠巻きながら、ご活躍を拝見し、素敵だなぁと(カナさんも、活動の一つひとつも)思っている、私です。
ブログ読ませていただいて、思わず涙が…
まさに、私。
私もそうでした。
保育士なのに、自分の子育ては全くダメ。落ち込んで、子どもの前で声を上げて泣く日もありました。
いまだに、あの頃には帰りたくない…と思っています。
ただ、保育士という仕事を続けながら、ひとりじゃないよ!というメッセージは全身で(笑)伝えているつもりです。
ブログ読ませてもらって、久々にその感覚を思い出し、コメントしたくなりました。
ありがとうございました。
ともこさん、ありがとうございます!
こういう経験をもたれて、保育士さんを続けられているというの、すごく素敵ですね。
ほんと、ひとりじゃないと知るだけで、どれだけ救われることかと思います。
こうしてともこさんのコメントがうれしいのも、きっと同じことですね。
遠巻きじゃなく、ぜひ遊びに来てください……っていう場が、いまなかなかないのでした(汗)
12月6日に西宮北口でまさに石川憲彦先生とのお話会がありますが、こんな場所で宣伝になるのも……。
なにかこういう育児の経験をみんなで共有できるような場をつくりたいなあと思っています、
よろしければぼちぼち見ていてくださいね!
さあ、今日も、泣いたり笑ったりしましょうぞー♪
こんにちは。
カナさんが、イトイ新聞で連載をされている頃から、ご活躍振りを、同世代として眩しく拝見しております。スペインから、神戸へ移られたのですね。実は、私も結婚を機に神戸へ移住し10年。
勝手ながらのご縁を感じております。
ブログを読んで、9年前、長男を出産した頃を思いだしました。夫以外に打ち解ける人もいない
中で、孤独と背中合わせで長男と向き合っていた日々でした。
日々成長する息子と過ごす時間、今でこそ愛おしい時間だったなと振り返ることができますが、
当時は、カナさんがおっしゃる通り、社会から切り離された孤立感で息が詰まりそうで、私も
体調を崩したりしていました。
息子が生後半年になったのを機に、もう一度仕事をすることを決め、息子を保育所へ預けることにしました。周囲(特に祖父母等ですね)からは、半年の子供を預けるなんてとんでもないとか、子供を育てたくないだけ、とか今思い出しても悲しくなるような言われようでした。
それから、もうすぐ10年。働くかあさん業も板についてきました。
一人だった息子は、もう一人増え、二人の息子のお母さんになりました。
働きながら、もう一人産むなんて無理、と思っていましたが何とかなりました。頑張って産んでよかったと思います。9年前、働くことを決めた私、その決意は無駄じゃなかったよ、と今の私が
言ってあげたいです。長くなってしまいましたが、9年前の私のような、お母さんの光になるような活動になりますように。私も経理の仕事一筋で、20年近く仕事を続けています。
地味な仕事ですが、細く長く需要のある仕事と思います。どなたかの礎になりますように!
本当に長くてすみません~。
ことさん、こんにちは。
母ってなんだかみんな過剰に求めすぎですよね。
赤ちゃんと一緒に、ふつうに生きていられる場所を、ひとつでも多くつくれたらいいなあと思っています。
経理をされていることさんのお言葉、ひとしお、身に染みました。
ありがとうございます!!
カナさんこんにちは!リベルタで、公園で、お世話になってます、ナオです。レッツ革命!
今回のお話も、心にしみました……。前に書かれていらっしゃるともこさんのコメントにも共感しきりでした。私もまさに、保育士だけれど育児に悩みまくり、一人で抱えてうつになっていた時期があるからです。再発もあり、暗いトンネルを歩くような日々でした。
そんな中で知ったのは、
「お母ちゃんが笑顔なら、子どもはたいてい幸せだ」ということでした。
何にもしてあげられなくて、もっとしてあげたくて焦るけど、自分を責めるけど、子どもにとってはそんなことより、ただ一緒に笑ってくれたら、すごく嬉しいしハッピーなんですね。
あー、今日の私はダメだ!!って思う日は、とにかく一緒にふざけてしゃべって笑うようになりました(*^^*)
この講座の背景にこめられていたん想いに、感動しました。
ここでなんですが、東神戸マラソンのことも、もっとしゃべりたいことアイデア盛りだくさんなのでまた話しますねーー(≧∇≦)