「情報化以前、もしくは花鳥風月」
プロジェクターにこの言葉が映し出されたとき、神戸大学国際文化学部の学生さんたちは、ポカンとしていた。
彼らに交じって聴講していた、私もまた。
壇上にいたのは、高田耕造さん。
合気道の同門で、いまは大手グローバル企業のEコマース部門で働く。小さな可愛い女の子3人。
ご家族ぐるみで、リベルタ学舎の活動に何度か参加してくださったのがきっかけで、少しずつ仲良くなった。
今度母校で「グローバルキャリア特殊講義」をするんです、でも「グローバル」じゃなくて情報化の話をしようと思うんですよ。
その一言だけで腹を抱えるほど面白かったので、潜り込ませていただいた。
大学で言語論を専攻、そこから理転して郡司ペギオ幸夫さんの研究室でいわゆる心脳問題について研究。
ワイン好きが高じて毎年ボルドーに葡萄摘みのバイト、写真好き(によるフランスでのフィルム&現像代)が高じて個展開催、学生結婚が高じてヒモ生活(?)……と、「自然体なまま進んだらえらくカラフルになった」20代の話に、学生さんたちの目がキラキラ☆
就職するなら中小企業の方が力を奮える(高田さんも最初は久留米の小さなアパレル)、そこで実際にどういう風に大学で学んだことが役立ってきたか……。
そして、だから自分自身がいちばん実感を込めて伝えたい、「大学時代に学んだらいいんじゃないか」と思うこと。
それが、「コンテンツではなく方法論」であり、より具体的には、「情報化以前、もしくは花鳥風月」ということだった。
「情報化」というのは、養老孟司さんがよく使われるキーワード。
「情報化されたもの」はもう死んでいる(ケンシロウ世代だね)。
大切なのは、「情報化のプロセス」を追体験すること。
「花鳥風月」とはつまり、「人間」ではないもの。
一年前の講義の際、「幸せですか、Yesならなぜ」とアンケートしたら、「Yes/人間関係がうまくいっているから」という答えが多かった。
では、人間関係がうまくいかなくなったら、幸せでなくなるのか。それってちょっと、危ういよね。
自分を支える基盤を、すこし、花鳥風月に置いてみたらどうかな。
たぶんどれも、大学の講義として聴くことはほとんどない話だろう。
(もちろん専門のEコマースの根源の話、『既存のメディアとインターネットの違い』も、ものすごかったですよ!)
90分の講義終了後、頬を紅潮させた学生さんたちが、列をなして話をしにいっていた。
私もまた、あまりにもいちいちキーワードが響いてクラクラしたので、廊下に出て窓から背の高い木が風に揺れるのをじっと見ていた。
花鳥風月。
その後、初めて訪れた神戸大学のカフェテリアで、「高田先生」とお互いの来し方やクロスしたキーワードについて話し込むことしばし。なんせ、「ボルドーのワイナリーを通じて共通の知人がいる」くらい、おそろしいご縁があるようなのだ、ナント(じゃなくてボルドー)。
実は「情報化」も、私が来週担当するライティング講座でも大きなキーワードとして登場する予定だったのでした。
だいぶ似た光景を見ている。ちなみに、同じ歳(だったはず)。
ちなみに、最後に出てきたキーワードは「土」でした。
さあ、仲間が増えた!
今日も元気に、歩いていこう~。
花や鳥や風や月の美しさに、心震わせながら。