駅の改札前まで来て気がついた。
あ、スーパーのカゴ、持ったままだ。
中には買ったばかりのお肉や野菜(見切り品だよ人生は)、それにカレールウやパンが、むき出しで。
駅の下にスーパーがある。
そこで買い物して、レジを終えて、袋に移し替えるのを忘れて店外に出て、エスカレーターをスタスタあがってマクドの前を通ってスタスタ歩いて、チケット屋と六甲ライナーの改札の前をスタスタ通って、JRの駅の入り口まできたのだ。
サザエさんみたいに、カゴを腕にぶらさげて。
たしか私はご機嫌だった。
うん、考えごともしていた。
ふと、遠くにいるひとのことを思ったりもしていた。
そこで、今朝の、毎週通う接骨院での会話を思い出した。
H先生はマラソンをしている。
練習でなかなか調子があがらないと思っていると、タイムが普通だったりする。
一方、お、これは調子いいと実感があったときに限って、意外とタイムが悪い、と。
一度、これまででいちばんの絶好調と思った時は、ご機嫌で帰宅して、財布を落としていたのに気づいたとか。
好事魔多し。
そっか、こういうことか。
このところビジネスで立ち止まることがあり、七転八倒していたのだけど、一週間もすれば身体は緩やかに回復し、つられて思考も負のスパイラルからなんだか脱していたりする。
そしてこの「立ち止まり」は必要だったのだと、一方出たところで振り返って、しみじみ思う。
「人生、起こるべきことしか起こっていない」
甲野善紀先生の言葉を、何度も何度も思い出す。
とかなんとか考えながら、再び戻ったスーパーで、買い物を袋に詰めなおしたのでした。
うん、調子にのるまいよ。
サザエさんみたいに、カゴを腕にぶらさげて