「妖怪ウォッチ」を見た。

ムスメは小学2年生。『夜と霧』で読書感想文を書いたって、小学2年生。海運堂で『食品の裏側』を読んで「なんか、いくつか食品添加物がまじると、がんになる成分ができるから怖いんだよね~」と深刻そうな顔で言ったって、オマケのポケモンフィギュアが欲しくてマクドナルドのハッピーセットが止められない7歳。

まずは昨年度の終わり、ご多分に漏れず、「ゲラゲラポ~♪」と歌いながら帰ってきた。なんだかすごく楽しそうだった。「おーてーらーの、おーしょーさんがー」というのも、楽しそうだった。流行っているものにはなんだか勢いがある。「妖怪ウォッチ」の曲とは知らず、「おもしろいねー、あれ歌ってー」とリクエストした記憶がある。

そして、ムスメがある日、テレビを見ていて番組表を見ていて(あの、CSにするとポルノ系のチャンネルまで表示されるのはなんとかなるのだろうか)、ついに「妖怪ウォッチ」を発見してしまった。父親とのあいだにどういう約束があったかわからないが、見事に、毎週の予約に「妖怪ウォッチ」が入り、入れ替わりに「ポケモン」が消えた。見事に。

 

それで、このあいだ、はじめて「妖怪ウォッチ」を一緒に観た。9月20日放送分。まず、ミニコント「太陽にほえるズラ」。もちろん元ネタはアレづら。両親世代のハートをキャッチづら。
んでね、本編が2本。この日は「妖怪笑ウツボ」(とりつかれるとなんにでも「まじうけるー!」と爆笑)、「妖怪ブリー隊長」(とにかく筋トレ、もちろん元ネタはアレね)。

というわけで、非常に駄洒落&流行り物ネタが多い。で、なんだか毎回けっこう違う妖怪が出てきてテーマとなるらしい(1回しか観てないから違ったらごめん)

ああもう、これって、「アルミはくしゃく」や「ゆきだるマン」など駄洒落キャラクターが大挙して出てきてその数がギネスブックで世界一と認定された、あの、アンパンマンではないか!

 

主人公の成長の物語である「ポケモン」は西洋的ビルドゥングスロマンであり、一方で、主人公がまったく成長しないまま「実のところ誰も根っからの悪はいない」キャラクターが行き交う「アンパンマン」は八百万の神的・アニミズム的な日本の典型的話形である、と、かつてスペインから書いた。

「ポケモン」は世界的に成功し、一方で「アンパンマン」はあそこまで日本国内で未就学児のほとんどを虜にしながら基本的に海外進出をしていない、その理由は、この「世界観」の違いにある。そういう分析だった。(「アニメ界の司馬遼太郎」-湯川カナの今夜も夜霧がエスパーニャ。長いですが)

ドラえもんもそうだけど(そういえばジバニャンのシルエットって、ドラえもんそっくりにゃ!)、日本で大人気となるシリーズは、主人公が成長しないどころか学んだりもしないことが多い。「ドラえもん」ののび太とか。いつも失恋する寅さんとか。妖怪ウォッチのけいたくんも、強くなるために旅したりはしない様子。

 

あんまり自分は変わりたいとか成長したいとかなくて、でも、八百万の神的にいろんなものがやってきて、で、それもぜんぶ極悪非道で倒さなければいけないボスとかではなくて「いいとこ」もあったりして(妖怪ウォッチにもしそういうのいたらごめん。アンパンマンで悪いのってだいたいバイキン草?を食べさせられたからとかなんだよね)。

なんかわかんないけど、いろんなことがあって、楽しかったね~。

きっとその、将来設計などない、「袖すり合うも他生の縁」的な感覚が、日本語人の心象にぴったり合っているのだと思う。

 

日本のこどもたちにアンパンマンが大人気なのは、なので、私は嫌いじゃない。まあ、アンパンマンが「さあみんな! ABCを学ぼうね! それじゃダメだよ、カバ男くん。みんな、どうしたらいいかな?」という教材色強いスピンオフものが多いのは困ったけど。

なのでいま「妖怪ウォッチ」がブームなのも、たとえそれが「わー、明らかにポケモンをベースに、アンパンマン的な要素を加え、かつ、小学校中学年以降のこどもたちに人気となっていた『怪談レストラン』シリーズの妖怪要素を取り入れて、かつ親の層に訴えかける小ネタを挟み! さらにはグッズ売りやすいようにいきなりウォッチ! ポケモンのポケッチをデフォルトで!! これが噂のメディアミックス焼きか!! それは富士宮やきそば的なものか!」とあざとさに辟易するようなものであっても、まあ、なんだかグローバリゼーションじゃなくてイイネ! とも思う。

それを時代が求めていたというのがどういうことか、すこし考えてみたくなるような気もする。

でも、妖怪ウォッチを卒業したあたりで、中学受験とかの渦に巻き込まれていくんだろうなあ。「ああ、いま、妖怪笑ウツボにとりつかれて、笑いが止まりませーん♪」とか言ったら問答無用でどやされる、受験戦争の渦に。

生き延びて、戻っておいで。八百万の神がいます、豊かでのんびりした場所へ。

 

んで、2015年のマクドナルドのカレンダーが、ポケモンからついに妖怪ウォッチになるって、ほんと?

 

妖怪ウォッチはアンパンマンの霊ずら

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