会うべくして会うひとがいる。ずっとなんとなく知っていて、「ちょっと遅すぎた」くらいのタイミングで実際に会って、そうして会ってみたらスカカンカンとパズルが合うみたいに、共通の友人がたくさんいて、共通の話題があって、思わず笑顔でまた力強く握手。

いちばん最近出会ったそんなひとが、岡田慎一郎さん。「古武術を日常の動きに取り入れる介護士さん」と知っていて、本も拝読していて、でも、介護はあまり関係ないなあと思っていた。

 

4月、甲野先生の講習会を主催した(これがまた、「古武術運動会」という謎の企画。雑巾がけレースに、虎ひしぎ昇降。あの甲野先生にこんなことをさせるのは日本広しといえど、うちしかないだろう…という自信はある)。

朝、宿泊先にお迎えに伺ったとき、ちょうど甲野先生に一本の電話がかかってきた。たまたま大阪においでだという、その電話の主が、岡田慎一郎さんだった。岡田さんはなにかに引っ張られるように、そのまま午前中の凱風館での講習会に合流されることとなった。

そのとき、私は凱風館の中にいた。カラカラと玄関を開けて入ってきたひとがいる、その姿は、逆光で見えない。でも、「あ、岡田さんだ」と思った。同じ瞬間、岡田さんも、「あ、湯川さんだ」と思ったという。「あの、噂の女傑の」と、言葉が続くのだけど。この時点ではお互いに、顔も知らなかった。

 

それからしばらく、内田先生も交えてお話しをして、それから、リベルタ学舎主催イベント「甲野先生とまさかの古武術運動会」(ひどい。いや、愛と敬意は満タンなのですが)のため、芦屋に移動。そのあいだのタクシーでずーっと、微笑む甲野先生を真ん中に、喋り続けていた。

講習会の途中で、甲野先生が、「こういうのは岡田さんが得意でしょう」と、いきなりバトンタッチ。「えっと、2時間前に初めて会って、拉致されたのですが(笑)」 そのまま岡田先生は、講習の中盤を担当してくださった。

座っているひとが立ち上がるときの補助のしかた。荷物のもちあげかた。とくに、股関節の動かし方について、90代のおばあさまの動きも入れたワークショップは、とても論理的で、わかりやすく、身体感をがらっと変える根本的なもので、受付をしていたスタッフを含めてその場にいた全員が感動するほどの内容だった。

「次回、股関節ワークショップしてください!」
「いいですよ」
師の甲野先生と同じく「惜しみない」岡田先生、ふたつ返事で引き受けちゃった。

 

それから、メールを主に、茨城県在住の岡田先生が関西に来られるときに会いに行ったりして、話を続けてきた。これがもう、パズルがはまるはまる。

「湯川さんにぜひ紹介したい方がいるんです。野ぐその専門家」「あ! つい最近、野ぐそワークショップしたいって話してたんですよ」「糞土師さんというんですが、もともとキノコの写真家の伊沢…」「あ、ひょっとして、伊沢正名さん? 粘菌写真集、ムスメと読んで大ファンで!」「わ!」

「さっき、こんど出す本で、医学書院の編集者さんと話していたら、その方が担当しているのがユマニチュード……」「あ! 本田美和子さんでしょ? ほぼ日連載のときから仲良しで、去年ユマニチュードの日本支部を立ち上げられて。岡田さんも介護だからずっとお引き合わせできればなと思ってたんです」「わ!」

「今日はムスメとザリガニ釣りに行ってきました」「あ、偶然ですね。ぼくも息子たち(ちいさな双子さんがいます)とザリガニを釣ってきたところなんです」

こんなことが、一度の会話に3回ずつくらいある。メールでもあいだに入っている平尾剛さんが、呆れるくらい。

 

そんな「運命のひと」岡田慎一郎さんは、甲野善紀さんに師事。でも、古武術は学んでいないという、変わり者。「武道家が、介護が上手でも、おもしろくないでしょ? 介護のような日常の動きが上手にやれるひとが、武道でもすごいのじゃないと」という言葉の通り、動いてみればものすごい。もちろん甲野先生の動きの受けもとる。

古武術を現代スポーツに活かすという視点で、バイオメカニクスの理論を切り口にアプローチし、小学校からプロの格闘家にいたるまで幅広い層を対象にした講習会で人気の高橋佳三先生(リベルタ学舎でも昨年、講習会をしていただきました!)と、ほぼ同期。とっても仲良し。

甲野先生の「すごすぎる身体運用」をキャッチし、ちゃんと伝わるように言語化し、自分の身体というチャンネルをしっかりと経由させて、ふつうのひとの「毎日」に活かせるように整えて出す。そういうところでも、高橋先生と岡田先生は通じ合うのかもしれない。

 

とにかく、岡田先生の講習会は、わかりやすい。だからといって「簡単」というわけではない。とことん「ふつう」のひとが、「ふつう」の日常で、「ふつう」にやれば、全身の力をつかってムリなくケガなく毎日を過ごせるようにと、徹底して言葉や動きを吟味されている、その「優しさ」のぶん、ほんとうにわかりやすい。

先週、凱風館で岡田先生の初の講習会があった。そこでも、「岡田先生の講習会はすごくわかりやすくて、すごく良かった!」と、大好評。(私はその日、主催イベントで摩耶山を登っていたので、同門の諸先輩方に伺いました)。

その場で、目の前のひとに、しっかり伝えて技術を渡すことのできる岡田先生だからこそ、90分の講座で、90年つづく「贈り物」をお持ち帰りいただけます。もうね、これほんと。
講習会、よろしければぜひぜひどうぞ。

だって、満足度高いの、わかってるんだもーん。

 

日 時: 2014年7月5日(土)  13時半~15時頃 (終了後プチお茶会)
場 所: 前田畳製作所 西宮支店 (阪急西宮北口徒歩7分。西宮市北口町18-5)
参加費: おひとり2.500円 (同伴のお子様 1,500円) お茶とお茶菓子つき
<<お申込フォーム>>←クリックすると別ウィンドウが開きます。
お問い合わせ: web@libertad-school.com

 

(内容詳細) http://ow.ly/yFAzI

 

 

運命のひと・岡田慎一郎さんについて

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